第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
『よく頑張ったな』
私の頭の上に重ねられた大きな手のひら。
陽だまりのような優しい暖かさ。
私はそのことがあって以来、悲鳴嶼先生のことが好きだ。
生徒と教師で叶わないのは一目瞭然。
でもそれでいいんだ。
ー今日はこの本を借りて…
少し背伸びをして本を手に取る。
パラパラと軽くめくると何やら不審な描写を見つけた。
【彼の熱い男根が入ってきた。マリーは頰を赤く染め………】
ーいやこれ官能小説やないかい!!
心の中で急に関西人が現れ、私は勢いよく本を閉じた。
鼓動が早くなっていき、どんどん身体に熱がこもっていく。
そして頭の中ではさっきの光景が頭から離れなかった。
悲鳴嶼先生もこんなことするのかな…無意識にそんなことを考えて私は唾を飲んだ。