第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
ーそういえば、悲鳴嶼先生に救われたのも図書室だったっけ…
私は中学校でいじめられていた。
地元の子達から解放されたくてこのキメツ学園を受けて合格した。
もういじめていたやつは誰一人いないはずなのに怖くて、昼休みはよく誰もいない図書室にきては1人泣いていた。
『なにかあったのか』
肩をぽんと優しく叩かれ、泣き腫らしたぐちゃぐちゃの顔のまま、私は顔をあげると、そこに悲鳴嶼先生がいた。
『ゆっくりでいい。良ければ私に…聞かせてくれないか』
悲鳴嶼先生はそう言うと穏やかな手つきで合掌をし、私に頭を下げた。
荘厳かつ貞淑なその所作に私は見惚れて、涙はいつの間にか止まっていた。
『そうか…そうだったのだな、確かにそれは辛く苦しかったろう』