第15章 体育教師 冨岡義勇 錆兎
ーー放課後
「…終わんねぇなおい…」
思わず口調が男寄りになってしまう。
ほうきでゴミをはたいて、モップで床をいくら磨いても黒い汁みたいなものが出てくる。
用具を磨くようにも放課後に出会った錆兎先生に言われてしまったのでまだまだ仕事は残っている。
「嘘でしょ…こんなの無理だって、むりむり…」
硬球を手に取って、軽く投げて遊ぶ。
「はい、おーわりませーん」
ブン、と軽く倉庫の壁に当てるつもりで投げる。
しかし、ボールの軌道は私が思ってるところとは違う方向に逸れて太陽の光が差し込む窓に吸い込まれていく。
ーあ、終わったな
ガシャン!!
ガラスが割れる音がして、キラキラと太陽の光に照らされてガラス片が舞い散る。