第15章 体育教師 冨岡義勇 錆兎
誰にも迷惑かけてないし。
「終わったの?お説教」
「梅〜〜!聞いてよ、腹立つんだけど」
私の不良仲間である梅が生徒指導室に入ってくる。
梅は私の向かいの椅子に座り、スカートから棒付きキャンディーを取り出してコロコロと舌の上で転がす。
「あんたもバレないようにしなさいよ」
「何言ってんの?梅が私を人質にして逃げたんでしょ?」
冨岡先生と錆兎先生に見つかったとき、梅は私を盾にして一目散に走り去って行ったのだ。
「この世はね、弱肉強食。食うか食われるかなのよ」
梅のシルバーのピアスが光る。
「…意味わかんない」
私はシャーペンを握り、名前を書いて反省文を書き始めた。
「『この度は、ピアス、髪染め、スカートの丈を短くしてしまいすいません…』あんた、この間も同じこと書いてなかった?」
「テンプレよテンプレ。これ以外反省することもないし、書くこともないじゃない」