第14章 【炎柱】煉獄杏寿郎
私は用意してもらった夕食を食べ終え、お風呂を済ませ、布団が敷かれた部屋に帰っていた。
鏡台を目の前にして、髪をまとめていた簪を外して、櫛を髪に通す。
ぼんやりと灯された灯りに簪が照らされて、キラキラと装飾品が輝いていた。
これは杏寿郎からもらったものでいつも必ず付けている。
金色の軸に大きな花があしらわれており、とても華やかな簪なので、なんだか杏寿郎によく似ている気がしてならない。
「沙織」
ーあれ、幻聴までしてきた…
眠くて重くなった瞼を擦りながら襖の方を見る。
眠気でぼんやりと視界はかすみ、誰がいるかなんて分からない。
「入るぞ」
襖が開けられ、入ってきた人物を見て、私はすぐに目が覚めた。