第14章 【炎柱】煉獄杏寿郎
「炎の呼吸、壱の型…不知火(しらぬい)!」
目の前で広がるまるで太陽のような炎の波。
「無事か!沙織!」
「杏寿郎…」
「君もこの山に来ていたんだな、君のその羽織が見えたから飛んできたんだ!」
暗い森の中でも目立つほどの明るい黄色の髪と瞳。
私は差し出された手をとって、立ち上がり、砂を払った。
「貴方も大丈夫だろうか!」
「はっ、はい!大丈夫です!ありがとうございました!」
杏寿郎はどこを見ているか分からないが、腕を組んで仁王立ちで木こりに話しかけ、尻もちをついていた木こりにも手を貸した。
「では、俺は山の裏側に行かなくてはならないからな!また!」
ドン!と破裂音がしたかと思えば、もう次の瞬間には杏寿郎はいなくなっていた。