第12章 嘴平伊之助
夏休み真っ盛り。
照りつける日差しは暑すぎるくらいだし、セミの声もうるささに磨きがかかっている。
待ち合わせしている伊之助に会うために駅へと向かっていた。
目的地らへんについたところで、私は辺りをキョロキョロと見回す。
ーあれ、伊之助…どこだろ?
本来ならここら辺にいるはずなのにな…と思いながら、辺りを見回していると、私の目の前に暗い影が2つ現れた。
「あ!おねーさん、どしたの?迷子?」
「俺ら案内しよっか?」
明らかにチャラ男と分類される見た目の男が私の前に立ちはだかり、ニコニコと笑みを浮かべている。
ーこ、これ…ナンパだ!!