第12章 嘴平伊之助
「あっ、伊之助、こんな所にいた〜!」
私は禰豆子ちゃんに伊之助は美術室にいるよと聞いて、ひょっこりと美術室を覗いてみた。
すると伊之助と宇髄先生がおり、私は美術室に1歩足を踏み入れた。
「帰ろ?帰んないの?」
伊之助は私に背中を見せたまま、一向に振り返らないので、私は伊之助の肩をポンと叩いた。
すると、伊之助が私の腕を掴み、自分の胸元の中へと引き寄せた。
「わぷっ、どうしたの伊之助」
伊之助の顔を見上げても、ずっと宇髄先生を睨んでいるし、一方で睨まれている宇髄先生はニヤニヤと笑っている。
「じゃあな派手神、ありがとよ」
「お〜、お安い御用だわ、また来いな〜」
睨んでいる割に伊之助は宇髄先生にお礼を言っているし、お安い御用って何を頼んだんだろ…?
私は伊之助に抱きしめられたまま、美術室を出ていき、出たところで腕から解放された。