第12章 嘴平伊之助
ーー放課後
「お〜い、嘴平ぁ〜、こっち来い」
「なんだよ派手神!」
俺は嘴平の肩に腕を回し、逃げられないようにホールドする。
嘴平は嫌そうな顔をしているが、それくらいで俺は怯まない。
美術室に連れて行き、傍にあったイスに座る。
「お前…彼女いるらしいな」
「おぉ、いるぜ!沙織のことだろ?」
嘴平はケロッとした顔で渋ることなく綾川の名前を出す。
ー一応、彼女の概念はあるんだな…
「んで、なんだよ、お前にやんねーぞ」
「ははっ、俺にはド派手に3人の嫁がいるからそこは安心しろ」
「じゃあなんだよ」
嘴平は興味を無くしてきたのか、耳に小指を突っ込み始めた。
「綾川、意外と男から人気あるの知ってるか?」