第12章 嘴平伊之助
「あ?んで、俺に手伝えってか?」
私はキャンバスにむかって得を描いている宇髄先生に話しかけた。
「だって沙織ちゃんが困ってるんですよ?見過ごせません!」
「竈門兄妹はそろってお節介かよ…」
宇髄先生はパレットを置き、頭をけだるけにかいた。
「じゃあ冨岡先生にチクリます。ダイナマイトを持ってること」
「は?!てめぇ…」
私はお兄ちゃんとよく似ていると言われる曇りなき眼で宇髄先生を見る。
宇髄先生は私に弱味を握られているので、強く嫌だとも言えず、大きなため息をついた。
「わーったよ…で、俺は何したらいいんだ?」
「2人がよりカレカノに近づけるようにしてください」
「俺に頼むということは、色事も教えろってことか?あの野生児に」
私は頷いた。
「まぁ、俺も嘴平の好きなやつって気になるしな、このド派手な色男の宇髄様が手ほどきしてやるよ!」