第12章 嘴平伊之助
「おい!!沙織!帰んぞ!」
放課後を知らせるチャイムがなり終わると同時に私の教室のドアが強引に開かれる。
派手な音がして、全員の視線が集まる中、私は声の主の方に向かって歩いた。
「もう!おっきい声出さないでよ、恥ずかしいなぁ」
私は伊之助に軽く体当たりをし、からかってみるが、伊之助はその3倍くらいの力で私に体当たりしてくる。
「ガハハ!弱っちいな!沙織!」
そのせいで私は尻もちをついた。
「いたた…」
わりと普通に痛かったので、私はなかなか立ち上がれずに腰をさする動作をする。
「…おめぇ、弱いんならぶつかってくんなよな」
「きゃあっ?!なに?下ろしてよ!」
見かねた伊之助は私を横抱きに抱えて一気に廊下を走っていく。
「ガハハ!ガハハ!さぁ行くぞ天ぷら屋!」
「きゃー!!怖い!!」