第11章 伊黒小芭内
「あ!これ、見ますか?」
「それは…」
伊黒さんは嬉しそうに私からDVDを受け取る。
そのDVDはこの間、デートしているときに観てみたいと伊黒さんが言っていて、私の家にあったので持ってきたのだ。
「ホラーサスペンスだが、君は大丈夫なのか?」
「…伊黒さんが守ってくれるので大丈夫です」
私はそう言って、ぴとりと伊黒さんに寄り添ってみた。
ー『男はね!そう言って、寄り添っとけばいいんだから!』
善子の言葉を信じて、伊黒さんに寄りかかってみたが、まるで反応がない。
「あ、の…伊黒さん…」
恥ずかしくなってきて伊黒さんの顔を見上げると、伊黒さんは困った、とでもいうような雰囲気をまとって、顔に手をあてていた。
「はーっ……必ず守ると今、神に500万回は誓った」
ーこの短い間に?!