第11章 伊黒小芭内
私がそう言った瞬間に、伊黒さんが顔を赤くした。
よく見てみれば、私のと伊黒さんのパステルグレーのマグカップの持ち手のカーブの感じが似ているし、質感も全く一緒だ。
「君とお揃いのものが欲しくてだな…少しはしゃいで買ってしまったんだ…それにピンクは…なんだ、あ〜…君に…似合いそうだったんだ」
伊黒さんがパステルカラーのグレーとピンクのマグカップを持って恥ずかしそうにレジに向かう姿を想像すると、きゅんと胸が高鳴った。
「いえ…あの、とても嬉しいです、ありがとうございます」
ここに居てもいい、そう言われている気がして、私は何となく胸を撫で下ろした。
伊黒さんにとって私は大切な存在なんだということを改めて認識させられて、甘酸っぱい気持ちになる。