第11章 伊黒小芭内
その後はたわいもない話をしつつ、気づいたら伊黒さんの家のマンションの駐車場にきていた。
華麗なハンドルさばきで1発で車庫入れを成功させると、すぐさまに車から降り、助手席の扉を開け、後部座席の荷物を取ってくれた。
「行こう」
伊黒さんは私のお泊まり用のカバンを持ってくれたまま、マンションの入口に入っていく。
ピカピカに磨かれたロビーの床は、大きな窓から差し込む光でさらに輝いている。
庶民の私からすれば高級マンションと思ってしまう。
エレベーターに乗り込み、ボタンがある方に私が立つ。
「何階ですか?」
「26階だ、ありがとう」
ー26階!やっぱり伊黒さんお金持ち…!
チン!とエレベーターが到着する音がして、私たちはエレベーターを降りる。
伊黒さんに誘導されるがままに廊下を歩き、伊黒さんはとある部屋の前で止まった。