第11章 伊黒小芭内
「いや、やめなくてもいいが…なんだ、こう恥ずかしくてだな」
くしゃくしゃと髪の毛をかいて、言葉を試行錯誤する仕草もかっこいい。
信号が青に変わると、伊黒さんはアクセルを踏んで車を発信させた。
「そういえば、今日は鏑丸くんはいるんですか?」
鏑丸は伊黒さんの愛蛇?だ。
銀色の美しい蛇らしく、よく伊黒さんからも話を聞かされていた。
「沙織が怖がるだろうと、不死川が引き取ってくれているから今日はいない」
「そうなんですね、見てみたかったです…鏑丸くん」
「また来ればいいだけの話だろう」
ーえ、まだ泊まってもないのに次もあるの!
私はその約束された未来に嬉しくなった。
本当に幸せだなぁ