第11章 伊黒小芭内
3日後
とうとうお泊まりの日を迎えていた。
伊黒さんが私の家まで迎えに来てくれるということで、私は鏡で何度も前髪をチェックしながらソワソワと前に通る道を眺める。
無駄毛も全部処理したし、肌も整えたし、クレンジングも入れたし、下着もいれたし…
準備は万端だが、気持ちが全く落ち着かなかった。
すると、タイヤのブレーキオンが聞こえ、目の前に黒色のセダンが止まった。
「待たせたか、すまない」
伊黒さんが助手席の窓を開けて、申し訳なさそうに眉を寄せた。
「いえ!待ってないです!」
「そうか、なら良かった」
伊黒さんは運転席からおりると、私の荷物を持って後部座席に置き、助手席のドアを開けてくれた。
「?どうした、乗らないのか」
「はっ!ごめんなさい…あまりにも紳士的すぎて…」