第11章 伊黒小芭内
「お待たせしました〜、コーヒーゼリーとストロベリーミルフィーユです」
可愛らしい茶色のウェイトレス衣装を着た定員さんが私たちの前に2つのスイーツを置く。
「え…?ストロベリーミルフィーユ?」
「俺が頼んだ。これ、食べたいやつだろう?」
定員さんは伝票を置いて、テーブルを立ち去る。
「ありがとう、伊黒さん…私まだなにも言ってなかったのに」
「お前の食べたいやつなど容易に分かる。彼氏として当然だ」
ふふん、と自慢げに笑ってコーヒーゼリーを口に運ぶ様子からして、意外とサラッと恥ずかしいことに気が付いていないみたいだ。
私は伊黒さんがサラリと言ったことに対して赤面せずにはいられず、ストロベリーミルフィーユの味なんて分からなかった。
「で…お前もしたいのか?お家デートとやらを」