第11章 伊黒小芭内
伊黒さんが言うとは思ってもなかった単語が発されて、私は思わずフォークを置いた。
「え、伊黒さん…どうして急に?」
「俺も宇髄に言われてな。あそこは男も女も似てお節介だから、沙織も今日言われていたんだろ」
「言われました…でも、良いんですか?」
ちょっと潔癖症な伊黒さんのことだから、お家デートは行く側も来る側も嫌がるだろうと思ってずっと口に出さなかったのだ。
だから私は少し驚いてしまった。
「構わない。今週の土日にでも来るといい。」
あっさりとOKをもらってしまって、私はまたまた驚いた。
「伊黒さん、潔癖症だから…私が行ったら汚くなりますよ?」
「お前が汚い?そんなことがあるわけないだろう。お前以外が汚いんだ。お前が来ることにより、俺の部屋に美しい空気が流れ込み、観葉植物が芽吹き出すだろう」
観葉植物はたぶん、お花咲かないやつだよなぁ…それ…
とにかく、きっと大丈夫なんだろう。