第11章 伊黒小芭内
「こ、この声は…」
さっきまで顔が赤すぎるくらいだったのに、誰かの声を聞いてサーっと善子は青ざめていった。
「あ、宇髄さん…と、伊黒さん!」
大柄イケメンな宇髄さんの後ろからひょっこりと顔を出す伊黒さん。
宇髄さんは善子の頭を掴むと、ニッコリと意味ありげに笑った。
「おーおー、可愛いこと言ってくれんじゃねぇの?朝はあんな憎まれ口だったのになぁ」
「ひぃぃぃぃやだやだやだ!!もう無理だからね?!もうシないよ!今日は!!」
「いや、もう俺の譜面は完成してるから、残念だったな善子」
「あ"ーーーーー!!(汚い高音)だずげでぇぇ沙織!!」
宇髄さんに担がれて、ぐずぐずに泣きながら私に助けを求めるが、その迫力に怖気付いてしまい、私は小さく手を振ることしか出来なかった。