第11章 伊黒小芭内
「いいじゃん!初お家デートしなよ!」
ーお、お家デート…
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
そんなの精神が持たないに決まってる。
「そういう善子はどうなの?宇髄さんとするの?」
「ほえっ?!」
善子が変な声を出してレモネードを吹き出しかけ、そこに私はおしぼりを手渡す。
ゴホゴホと咳き込んで善子はテーブルを吹き、ストローの先っぽをかじった。
「ね?あるの?ないの?」
私はここぞとばかりに善子ににじり寄る。
あ”ー!!と汚い高音を出して私の顔を押さえつけると、わかった!言うから!とどうやら堪忍したようだ。
「したことあるよ…2、3回…」
善子は顔をゆでダコみたいに真っ赤にして、テーブルに突っ伏してしまった。
「え、で?どんな感じだったの?」
「なんか、いつもと違う感じで…匂い全部天元だし…ドキドキしたよねぇ…」
「ふぅん?そーなんだ、ぜーんこちゃん♡」