第10章 我妻善逸 ②
「そう、全部俺だよ、俺をこんなのにしたのも沙織ちゃんのせいなんだからさ…どうにかしてよ」
私は我妻くんに導かれるまま、教室の端の方に連れて行かれる。
「イカれてる…私をどうするつもりなの…」
並々ならぬ雰囲気をまとった我妻くんは何をしでかすか分からないというのも私の恐怖心をさらに煽った。
「この気持ちはずっと心の底にしまっておこうと思ってたけど、沙織ちゃんに触ったら俺のものにしたくなったんだよねぇ…」
「いや…やめて…」
我妻くんは再び私の頬を両手で包んだ。恐ろしいくらいに冷えた手のせいで私は背筋を震わす。
「そんなに震えないでよ、怖いことなんてしないからさ」