第10章 我妻善逸 ②
誰もいなくなった教室のドアを開けて、俺は一直線に沙織の机に向かった。
イスをひいて座り、机に突っ伏すのが俺の放課後の日課だ。
「沙織ちゃん…」
足を動かすと、なにかが当たる。
「え?これって、宝じゃん!」
ピンク色のトートバッグに入った体操服が机の横にかけられていたようだった。
俺は迷うことなく、トートバッグから体操服を取り出して、机の上に広げた。
綾川沙織と書かれた名札が右胸のところにあり、そっと指でなぞる。
ーああ…いつか我妻沙織になってくれないかなぁ…
体操服を両手で持ち上げ、顔面にかけると、鼻腔いっぱいに沙織の匂いが広がった。
「うわ…めっちゃいい匂い…興奮する…」
知らぬ間に俺の下半身は燃えるように興奮して、パンパンに膨らんでいた。
すると、教室の扉が開かれた。