第10章 我妻善逸 ②
「最近、カナヲはどう?」
「元気ですよ!どんどん、クラスにも馴染めてきてるし…」
「ほんとに?よかったわ〜」
胡蝶先生とカナヲ、さらには1学年上のしのぶ先輩は姉妹だ。
詳しく言えば、カナヲは養子で引き取られたらしいが、胡蝶先生としのぶ先輩は本当の妹のように可愛がっている。
「あ、じゃあ後は酢酸をこうしたら終わりね、これは私がやっとくからもう帰って大丈夫よ〜」
途中で手違いがあり、しっかりと2時間もかかってしまった。
すっかり夕暮れになって、私は正直へとへとになっていた。
「はい、手伝ってくれてありがとう」
胡蝶先生は私に1口大のチョコレートを渡すと、ニコリと微笑んだ。
「わ…!チョコレート好きなんです!ありがとうございます!また手伝いがあるときは仰ってください」