第10章 我妻善逸 ②
その後、体育は続いたが、何事もなく授業は終わった。
私の妙な悪寒もしなかったし、カナヲも何も無いと言っていたのだからきっと寒かっただけなのだろう。
放課後になり、私は帰ろうと思ってカバンの中身を整理していると、放送がかかった。
「綾川さ〜ん、すぐに胡蝶カナエの所までお願いしますね〜」
柔らかい優しい声にざわついていた教室も静かになり、聞き惚れる。
「あ、ごめんカナヲ、胡蝶先生に明日の実験の準備手伝ってって言われてたんだった…先に帰ってて!」
カナヲは静かに頷くと、私に手を振って教室から出ていった。
私も少し遅れて教室を出て、理科実験室に向かった。