第10章 我妻善逸 ②
ーまただ。
私は体育の授業中、誰かに見られている気がして、寒気がし、辺りを見渡した。
何度辺りを見渡しても見える景色は友達と冨岡先生くらいでなんの変哲もない。
男子は今日はグラウンドで体育をしているから、体育館にいる私たちを見ることは出来ないだろう。
「どうしたの?沙織」
バレーボールの試合を終わらせてきたカナヲが私の方へ向かって歩き、横に腰を下ろした。
「いや…実は、なんか見られてる気がして…」
「見られてる?」
カナヲは辺りをゆっくりと見渡した。
視力のいいカナヲに見てもらえばなにか分かるかもしれない。
「なにもないよ」
「そっかあ…考えすぎかなぁ…」