第8章 「The hole」宇髄天元
目を覚ますと、宇髄先生は私を膝枕をしてくれていた。
「お、起きたか」
「すいません、お膝を借りてしまって…」
「いいんだよ、あとこれ」
宇髄先生に渡された小さい四角の紙。
裏を向けてみると、電話番号と思わしきものとLINEのIDが書かれていた。
「登録しとけ、万が一のときに俺に連絡出来るだろ?」
「分かりました、ありがとう…ございます」
私はそっと財布の中にしまう。
すると宇髄先生の大きな手が私の頬を包み込み、私の目を真っ直ぐに見つめてきた。
「いいか?よく聞けよ。お前は逃げていいんだ、我慢しなくていいんだ。自分をもっと大切にしろ」
「…はい」
「分かったならいいんだよ」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられただけで心が暖かくなってくる。
逃げていいんだ。
我慢しなくていいんだ。
自分を大切にしていいんだ。
「私、先生を好きになってよかったです」