第8章 「The hole」宇髄天元
放課後のチャイムが鳴り、下校を知らせる。
ー帰りたくない
また帰れば殴られるし、怒鳴られる。
家には帰るものだ、なんて言うけど、私はそうは思わない。
私はカバンを持ち、図書館の扉を開けて廊下へと出た。
「お、瀬戸山じゃねぇか」
「う、宇髄先生」
宇髄先生は私の肩をポンと叩いて、私を呼び止めた。
「この間の絵も派手に良かったぞ!さすが瀬戸山だな」
「ありがとうございます…!私には絵くらいしかないので…」
「これからも期待してるからなぁ〜、気をつけて帰れよ〜」
手をヒラヒラさせて宇髄先生は職員室へと足を運んでいく。
ーあ〜…帰りたくなくなった…
この幸せな時は続かない。