第8章 「The hole」宇髄天元
宇髄先生は唯一私を認めてくれた人だった。
親にどんなにいい成績をとっても、絵が上手くかけても褒めてもらったことなんてなくて、それが当たり前だったからもう慣れてたはずなのに
『ん?お前、絵が派手に上手いな!』
美術の授業の時、宇髄先生がふらりと私の絵を見てそう言ってくれた瞬間、私の胸の中に暖かな感覚が広がっていった。
認めてくれた、褒めてくれた。
それが嬉しくて、その日から私は宇髄先生に恋をしている。
あの時の笑顔が忘れられなくて、淡い恋心を抱いているだなんて馬鹿げている。
私の体はもう汚いのに……
「…、沙織?どうしたんだ?」
炭治郎が顔を覗き込んできた。
「あっ、いや!ごめん、話聞いてなかった…」
「大したことじゃないからいいけど、なんかボーっとしてないか?」