第8章 「The hole」宇髄天元
「5番をひとつ」
父のボロボロになった財布を開けて、代金を取り出す。
店員さんは私の顔を見てギョッとした顔を見て、私は
隠すのを忘れてきたことを思い出した。
「あの…」
やばい。
バレると父さんに怒られる。
「身分証をお願いします」
きっと気付いてるけど、なにもいわないでくれたタイプの人だ。
私は慣れた手つきで瓜二つの顔の姉の身分証を提示した。
「あーっしたー」
私は片手にタバコを持ち、家に帰る。
姉はとっくの昔に結婚し、家を出て行っていた。
姉は私より親から愛されていた。
学校で成績がよく、有名国立大学に入学し、エリートと結婚。
絵に描いたようなサクセスストーリーを歩んだ姉も見放した。
「ただい…きゃあ!」
扉を開けると、酒のビンが飛んできて、腕でガードし、床の上で砕けてガラスの破片が散乱した。