第6章 時透無一郎
「沙織って勉強できる方なの?」
ーえ、この状況で聞く?
「い、、いや…得意ではないけど…」
私は小首を傾げて無一郎に返答をする。
それを聞いた無一郎は弾けた笑顔をして、私の手首を抑える手に力をこめた。
「よかった!じゃあ、体に教えた方がすぐ覚えれるもんね」
ーあ、そういう感じスか…
「あ〜〜〜うそうそ、実は得意!」
得意って言ったらどうなるんだろうという微かな好奇心に任せて言ってみると、無一郎はさっきまでの笑顔がなかったかのような真顔に早変わりした。
「ふぅん、僕にテストの点数勝ったことあった?」
「いや…ないです…」
「じゃあ出来ないね」
無一郎はパァァとまたさっきの笑顔を浮かべた。