第6章 時透無一郎
「ごめんね…また、無一郎に迷惑かけて…私…」
ーだめだ、溢れてきちゃう
「…迷惑?これは迷惑なんかにならないよ」
無一郎は私の後頭部をおさえて、背中にもう片方の手を回し、ゆっくりと私を起こして、両手で頬をつつんだ。
「僕が年下だからとか色々考えてるんだろうけどさ、そんなの彼氏なんだから関係ないよね」
「いっ、いひゃい…」
頬を横に伸ばして私をからかうその瞳は怒っていなさそうで私は安心した。
「それともなに?彼氏って思ってないの?」
「え、あれ、怒ってます?無一郎く〜ん…お〜い」
無一郎の前で手をパタパタと振っていたら、手首を勢いよく掴まれる。
「いいよ、分からせてあげるね」
ニヤリと黒い笑みを浮かべた無一郎はわざわざ起こした私を押し倒して、上に覆いかぶさってきた。