第6章 時透無一郎
「カナヲ!見てた?」
ボールを追いかけながら炭治郎がカナヲに話しかけ、カナヲはおおきく頷いてみせた。
「応援してよかったね」
私は小声でカナヲに言うと、カナヲはうん…と小さい声で返事をした。
「ねぇ、次、僕出るんだけど?」
後ろから声がしたかと思えば、腕がするりと伸びてきて、私の肩の上にのっかった。
長い黒髪の先っぽがミントグリーンの髪の毛…
「無一郎!」
私は後ろを振り返った。
すると少し不満げな顔をした無一郎がいた。
「僕は彼氏なんだから、彼氏でもない炭治郎を応援するよりも応援してくれるよね?」
「うっ、うん!!任せといてよ!」
「ふふ、期待してる。これ、持ってて」
「わぷっ」
無一郎はジャージの上着を私に投げつけて、1年生のコートへと走っていった。