第5章 体育教師 冨岡義勇
「ん…」
私は起き上がって時計を見ると、12:00を過ぎていた。
どうやら一限目の体育から寝続けていたようだ。
「…沙織」
「冨岡先生!」
カーテンが無造作に開けられて、冨岡先生が入ってきた。
「ってか、ここで名前呼びはダメです!」
「(俺とお前しかいないのだから)いいだろう」
冨岡先生は私の横に腰をおろして、額に手を当ててきた。
暖かくて少し固い先生の手の感覚が伝わってきて、顔が赤くなってしまう。
「あの…先生、貧血は熱とかないと思います…」
「そうか」
すると、唐突に冨岡先生が私に唇を重ねてきた。
私は驚いて目を見開かせて、冨岡先生を勢いよく突き飛ばした。
「だから!ここ学校なんです!」