第5章 体育教師 冨岡義勇
正直、善逸はやかましいと思うが、構っていれるほどの気力もない。
すると、私の影に誰かの影が重なった。
「おい、綾川、立てるか」
冨岡先生だった。
竹刀を片手にしゃがみこみ、私の顔をのぞいている。
「…貧血か。保健室」
冨岡先生は私の顔を見るなりそう言った。
「はっ、はひ!」
善逸が私の腕を肩に回そうとした時、パシーン!と竹刀が炸裂した。
「いっ、いったあ?!なんで?!これ、俺が連れてけってことじゃないのお?!」
「俺が行く」
そう言うと冨岡先生は私を軽々と横抱きにして、保健室に向かって歩き出した。