第5章 体育教師 冨岡義勇
「あと10周」
それだけ言うと、青色のジャージに身を包んだ冨岡先生は黄色の笛を吹いた。
ほとんどの生徒はみな、ゾンビの形相で走っており、伊之助と炭治郎とカナヲだけが涼しい顔をして走っていた。
「はあ…はあ…し、しぬぅ…死んじゃうよぉぉ」
「ぜ、善逸…皆…そうだよ…」
1人が冨岡先生の前でべしゃりと倒れ込んだが、冨岡先生は容赦なく竹刀で叩き起している。
「あれは…鬼だ…沙織…ちゃん…」
「いつか…首…切らないと…」
私の足もそろそろ限界だ。
だんだん産まれたての小鹿に近づいてきている。
ーあ、もう…ダメ…
「沙織ちゃん!」
横で善逸が私の名前を叫んだ。
私は地面に倒れると、膝をつき、肩で荒々しく息をする。
「だだだだ大丈夫??死んじゃうのおおお」