第1章 *テニプリ*仁王雅治*
「俺は3年の仁王雅治。テニス部じゃ」
テニス部?こんな派手な髪の人いたら目立つと思うけど今まで見たことがない。
「…まさか!」
仁王と言う人物は、「ん?」と私を見ている。
まさかとは思うが本当にこんなことってあるのだろうか。
「本当に仁王先輩が…幸村先輩に化けていたんですか!?」
先輩はククッと笑うと
「化けるとはちょっと言い方があれじゃが…まぁそんなもんじゃ」
と、ニヤニヤ笑う。
「全然意味がわからないですけど…じゃあ、もし本当にそうだとしたら…私が描いた幸村先輩は…幸村先輩じゃなくて仁王先輩だったと…?」
先輩はまたもや悪い顔でニヤッと笑う。
「すまんかったのぅ。幸村への熱い視線、俺が全部受け止めてしまって」
「だからそういうんじゃ…!」
「お前さんの想いは俺が受け止めといてやるぜよ?」
先輩の手がふいに私の頭にポンとのる。
「そうじゃ、今からコート行くから、よーく俺を見ててみんしゃい」
「なんで見なきゃ…?」
「ええから。たまには幸村以外も見てくれてもええじゃろ」
「だから!幸村先輩はそういう意味で見てたわけじゃないんですってば!」
少し泣きそうになりながら喚き散らすと再び頭にポンと手の感触を感じた。
「見てて」
今までのニヤついた顔とはうってかわって真剣な顔でそう言うと先輩はゆっくりと教室を出ていった。