第1章 *テニプリ*仁王雅治*
「きゃー!仁王くーん!」
そんな黄色い声が聞こえてきて思わず二度見した。
フェンス越しに見学していた女子が「仁王くん」と騒いでいる。
これはどういうことだろうか?
コートでは仁王先輩が試合をしていた。
それを見て興奮したように騒ぎ出す女子たち。
そんな女子に見向きもせず慣れた態度で試合を続行する仁王先輩。
それでも黄色い声援を送り続ける女子たち。
「なんなの!?仁王先輩ってモテるの!?」
知らなかった。いや、立海テニス部はかなりモテるとは知っていたけどまさか仁王先輩にこんなにファンがいるとは。
一層声援が強くなりその声は悲鳴に変わる。
どうやら仁王先輩が勝ったようだ。
先輩がベンチに戻ると先ほどの女子たちが近寄りなにやら話しかけている。
楽しそうに話す先輩の姿に少しだけ、チクッと胸が痛んだ。
え、いや私には関係ないし。
なぜか、その光景から目をそらしてしまった。
「そこの女子たち!今は部活中だ!邪魔をするんじゃない!」
わあ。さすが副部長さん。容赦ないな。
机に突っ伏して、そんな外の声だけを聞いていた。