第2章 .金木犀と沈丁花
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奥さん「革素材の中でもちょっと厚めの物を使用したから手縫いのところがあるけど、その他はしっかりミシンを使ったわ。切れることが無い限り、糸が解ける心配は無いわ。」
手渡されたのは厚革製のショルダーバッグ。
スチームパンクな見た目と、バックルストラップが私の心を鷲掴みにした。早速バックを肩に斜め掛け、中の構造も徹底的に見て調べた。
コスプレに使用されてても可笑しくないほどお洒落な細工が沢山施されていて、なんと言ってもバック内のポケットが多い事が何より嬉しかった。
だってポケットが沢山あった方が整理整頓しやすいでしょ?
『奥さん、貴女って人は本当に天才ね!めっちゃ良さげなんだけど?!えっなに、本当にこれあんな安い金額でいいの?!』
バックは万を下回るほどの値段で、お互いに相談しながら決めたものだった。
オーダーメイドであるからこそ本来ならばもう少し高いのだけれど、「私とちゃんの仲じゃない!」と言う奥さんのお言葉に甘えてしまったのだった。
そんなに仲が良かったのかって?
この島に来てから私、和服しか持って無かったでしょ?だからこの洋服店で何着も新調してたら、いつの間にかお茶するくらい仲良くなってたのよ!
コミュ力が高いことに越したことはないってね!!
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