第2章 .金木犀と沈丁花
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「ほぅ、避けたか...。
お前本当にただの店員か?それとも違う別のなにかなのか...?」
腰に提げていた刀が一振り鞘から抜かれていて、その本体は右手に握られていた。
この人ニヤって笑ってるけど店内で刃物振り回したよ?!?!
営業妨害!器物損害で訴えるよ!!
着物に害がなかったか不安で見に行ったが幸いにも商品に傷は見当たらなかった......
くそっ器物損害は無しだ。
『危ないじゃないですか!!商品に傷がついていたら貴方に賠償してもらう所でしたよ!!良かったですね傷が無くて!』
「ああ?そんなの想定内だ、俺の腕が落ちねェ限り余計なもんは切らねェよ」
そう言ってまた店内を物色し始めた。
こんっの男!アンタが五右衛門じゃなくて本当に良かったよ!「またつまらぬものを切ってしまった...」なんて言ったらシナギちゃん激おこプンプン丸で引っ掻きに行ってたわ!
『もう!とりあえず良さそうな物があったら声かけてください!アンタのせいで疲れちゃったよ』
お会計近くの椅子に腰を掛けて、たまたま近くに置いてあったお手玉で遊び始める。
このお手玉も余った布から出来ているもので、つい最近が作ったものだった。柄物と無地が交互に縫われたお洒落なデザイン。中にはしっかり小豆が入れられている。
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