第2章 .金木犀と沈丁花
.
「........なぁ」
声をかけたお客様は質問に対しての返答が無く黙り込んでいた。そして口を開いたかと思えば、答えたのは質問の答えでは無かった。
「この街のやつは海賊に慣れてんのか?」
質問に質問で返すなよ!と言ってやりたかったが、相手は店にとって有益なお客様。下手な態度をとっておば様の店を潰すわけにはいかない。
ここは心を落ち着かせて、冷静に対応しなければ...!
『ええ、ここはログポースが必ず指す島なので海賊や海軍などの出入りは頻繁にあります。だからどこの店も大体は海賊に対して耐性がついているかと思いますよ!』
...私の場合は別ですけど((ボソッ
私の場合自分が海賊ですからね!!海賊が海賊にビビってるなんてあの人たちに笑われてしまうわ。
私の返答に「ほぉ~」と返すお客様。
『そんな質問をするってことはお客様は海賊なんですか?』
「ああ、一応な」
『へぇ~刀を下げているってことは剣士さんなんですよね?はぁ~凄いわぁ』
こうやってウザ絡みみたいに話すのもお客とコミュニケーションをとる一つの方法。上手くいけば一着くらいは買ってもらえる。
「そういうお前も持ってんじゃねぇか、刀」
腰に刺していた短刀を指さすお客。
『ああこれですか?一応銃と一緒に護身用で持っているんです!でも使うことがないんで意味が無いですけどねぇ』
能力を使いこなせるようになって以来、援護射撃で銃を使う、能力と絡み合わせて短刀を使うってことはあるけど、単体で使うことは少ない。
だけど今の私の言葉にこのお客はきっと平和な島なんだなぁとでも思っているだろう。
「平和な島ってことか?
でもさっき見かけたぞ、海賊に潰されてる店を」
『え?!』
ああ、きっと地区会議はそのせいだな(꒪꒫꒪)
大方詐欺師の店なんだろうが。
.
『...ッ』
急に迫りきた"何か"を感知して後方に飛び下がった。
.