第2章 .金木犀と沈丁花
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『ほへ~じゃあおば様の島はこの花に不思議な力があったんだ!』
「そうさね、その力こそが長寿の秘訣さ!」
とても興味深い話だった。
なんでもその春島に咲く沈丁花の香りは人間の寿命を伸ばしてくれるそうで、クムユ姉さん達の力に比べてしまえば影は薄いが、そのものだけを見れば凄い力だ。
『でもなんで島を出ちゃったの?
結婚しても島にいれば良かったじゃん』
おば様が結婚後、島を出たことに不思議を感じた。
島を出なければその力をずっと得られていたのに。
「うちの旦那がね、海兵さんだったの。
勤務先が変わることなんてしょっちゅうだけど、あの人について行きたかったから島を出るしかなかった。」
『なるほど、確かに結婚したのに別居とか遠距離は嫌よね。でも引っ越しとか大変だったでしょ?』
何だかんだ言ってもおしゃべり大好きな女子高生を卒業して2年しか経っていない。
そのおしゃべり好きは今も変わらず健在している。
「ああ!!そうそう、いっけない本題を忘れるところだったわ!結局貴女はどうしてあんな格好をしてたの?!どこから来たの?!」
質問と一緒に顔がグイグイ迫ってきた。
『あぁ~えっと、実は嵐の中船から落っこちちゃって気がついたらこの島に流れ着いてました!』
「あら、運がいいのね」
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