第2章 .金木犀と沈丁花
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『あの、お風呂ありがとうございました。下着に服まで、後でしっかりお支払いします。』
「そんないいのよぉ、私が勝手にした事だから」
私ってお節介おばさんなのよぉ、と笑って言うおば様。自分でもよくご理解しておられるようで何よりです˙꒳˙)
あの後連れていかれた先はお風呂場で「その頭と顔に着いた乾いた砂を取ってらっしゃい!!」と、すっぽんぽんにされ風呂場に閉じ込められたのだ。
鏡でよく見れば確かに顔に固まった砂がこびりついており、髪の毛には小さな海藻が絡まっていた。
いや交換所のおじさん気づいてたでしょ、言ってよ?!こんな格好で私、街の中堂々と歩いてたんだよ?恥ずかしいわ!
これならおば様がなんて格好してるのって言ったのわけも分かるわ。
「とりあえずここに座ってちょうだい、今暖かいミルクを入れるから」
「すぐ出来るわ」おば様はやかんに火をかけ始めた。
疲れたし甘えようかな。
『何から何までありがとうございます』
テーブルに座っておば様の方を向けば「いーのいーの!」と言う、なんだかとある県のおば様みたいだ。
目の前に飾られた花から香る匂いが身体を癒した。枝に白い小さな花が集合していて、凄く可愛らしいかった。どこかで見たことがある気がしてずっと花を眺めているとすぐ近くに湯気を出したマグカップが置かれた。
「あら、その花が気に入った?」
向かえの席にもうひとつのマグカップを持ったおば様が座る。
「その花の名前は沈丁花、とてもいい香りでしょ?」
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