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【WORST】小さな恋のうた R18

第6章 屋上で


ーーーゴツンッ!






「いてっ!」


「口説くのは、十年後にしてね!」



頭突きって、有りかよ…。




オレの手を離して、椅子に座る鈴音。


「今から仕事するから静かにしててよ!」



オレの誘いなんて無かったかの様にも、見えたが………



「なぁ、本逆さまだろ、それ…」


「…………」


椅子に座って本を開き読み始めた鈴音だったが、本は逆さまだった。

そして、本で顔を隠しながらオレを見た。


「…うるさいなぁ。そんなの分かってるわよ」


「……ぶっ!」



耳まで真っ赤な顔をしている鈴音。あくまでも平然を装って居たみたいだが、本当は違ってた。



そんな姿が可愛く思えた。


「そんなに、笑わないでよ!」

「わりぃ、ついな……つーか家探してんの?」

「あ、うん!今親戚の家だからそろそろ一人暮らしでもって」

「オレ良い不動産知ってるから紹介してやるよ!」

「本当に?助かるわ」

そう言いながらオレに笑う鈴音。

オレは、ベットから起き上がり鈴音が、座っている所にいった。


「なんか、書くもん貸して?」

「うん!んじゃこれにお願い」


鞄から手帳を出してオレに渡した。そして、地図的なものを書き始めた。


「わかんねぇー時これに連絡よこせよ!」

「んじゃ私のも教えておくね」

そう言いながら手帳の紙を一枚破いた。その時、手帳から何かが落ちた。


「………」


鈴音は、書くのに夢中で落ちたことさえ気付かなかった。


もしかして…写真か?



と思いつつオレは黙って自分のポケットに入れた。


一枚くらい貰っても大丈夫だよな?



「…はい、これ!」

「…あぁ」



オレは鈴音の番号が書いてある紙を貰った。


「そう言えば……」

「何だよ?」

「ちゃんと授業にでなさい!」

「………」

無言のオレの背中を押し医務室から追い出された。



「頑張ってね!授業!」


「……あぁ!」



オレが歩き出すと鈴音は、“行ってらっしゃい”と言っていた。

その言葉に応えるようにオレは、かるく手をあげた。


オレは、この時はまだ知らなかった。
一枚の写真で、鈴音との関係が壊れるなんて思いもしなかった。






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