第7章 第7章 誤解
自然に出た言葉が“好きだ”だった。
だが…
「私も、好きだよ」
「えっ?」
正直、そんな言葉が返ってくるとは思っても居なく、腕の中の鈴音を見た。
「ほら、お弁当でしょ?」
「………」
「お弁当が好きで早く食べたんでしょ!また、作ってあげるね」
そういいながら、オレの腕の中からするりと抜けて居なくなった。
「そういえばさ、医務室で何か拾わなかった?」
いまだ整理できていない頭に鈴音の質問。
オレは…“何も”としか言えなかった。
「そっか…」
一言呟く鈴音。少し寂しそうな顔をしていた。
今更拾ったとも言えなかった…
その後、話が盛り上がる事は無く鈴音の家まで来ていた。
「ありがとね、送ってくれて」
「…あぁ」
「明日ね」
「あぁ」
軽く手を上げ、鈴音に別れを告げた。
鈴音を送って一人で歩く途中、鈴音の言っていた言葉を思い出しオレは、ポケットから写真を出した。
「……」
オレは、ただ写真を眺める事しか出来なかった。