第6章 屋上で
さっきと変わって静かになった屋上。
振り返ると鈴音が、立っていた。
「…大丈夫か?」
そうオレが、聞くと笑顔で“大丈夫だよっ!”と答えた。
「…そっか、けど何だかごめんな」
「なんで、光政君が謝るの?」
「……えっ?」
い、今……
オレの名前………
驚くオレに鈴音は、謝りながら説明し始めた。
「ごめんね!昨日名簿見て光政君探しちゃったの。名前知りたくて…」
名前??
ま、まさか…………
「ほら、医務室使用した人の名前書かなくちゃ駄目でね。就任1日目での仕事だったから張り切っちゃって…」
何だよ、そのオチ………
「……ふっ!」
自意識過剰だよな、オレ。
そんなオレが可笑しくて笑うと、理解出来ない鈴音が……
「な、なんで笑うの?可笑しい事言った?」
「いや、オレが可笑しくてさ…鈴音がオレのこと………」
「私がなに?」
「えっ、あっ、何でもねぇーよ」
何、言おうとしてんだ、オレ。
っつーか、調子、狂うな。
「可笑しいの、光政君って。
そういえばお礼しなくちゃね助けてくれたお礼!」
「いいよ、お礼なんて。もとを言えばコッチがわりぃんだからさ」
「いいや、駄目っ!それじゃ私が納得しないのっ!と言っても一応教師だから出来る範囲があるけど…」
力いっぱい話す鈴音は、やっぱり年上には見えねぇわ…。
「……ならさ……」