第3章 三月三日
「これに着替えていただけますか?時音さん」
「えっ!?」
着ていいの!?十二単って物凄く価値があって大切だから着てはいけないほどのものなのに・・・・・・!!
「いいんですか!?由美さん」
私は由美さんを見た。
「いいわよ。そう・・・・・・坊や、この子を選ぶのね」
???
「はい」
宗次郎さんが笑顔で答える。
「え?」
どういう意味だろう・・・・・・。
「志々雄様から内裏(だいり)の衣(ころも)も貸していただきなさいね」
「はい。ありがとうございます由美さん」
宗次郎さんが由美さんに会釈した。
私と宗次郎さんで十二単を大切に持った。
「由美さんは御自分の十二単はあるのですか?」
宗次郎さんが訊く。
「あるわよ」
「では有り難くお借りいたします」
私と宗次郎さんは十二単を持ちながら志々雄さんの部屋に向かった。
「志々雄さん」
宗次郎さんが志々雄さんの部屋に入った。
「どうした?宗次郎」
「内裏の衣装を貸していただけませんでしょうか?」
「ほう。時音と祭りでもやるのか?」
「はい」
宗次郎さんが笑顔で答える。
「宗次郎、お前には少しデカイかもしれねぇ、俺の服はな」
「はははっ。そうですね」
「それでもよければ貸してやらねぇ事もねぇが?」
「はい。お借りしたいです。お願いします」
「解った」
志々雄さんが奥へ行って、数分経って戻ってきた。
「これだ。大切に着な」
「ありがとうございます。志々雄さん」
宗次郎さんが十二単の上に内裏の衣装を乗せてお辞儀する。
そして私と宗次郎さんは退室した。