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所詮この世は弱肉強食【短編集】

第3章 三月三日



私は着ている和服を脱いで十二単を着た。


綺麗・・・・・・。
こんなに貴重なものを私が着ていいのだろうか・・・・・・本当に・・・・・・。


「着替え・・・・・・ました・・・・・・」
私は宗次郎さんの元へ向かった。


目を見張った。


男性的な宗次郎さんがそこに居たから――。


「わぁ、綺麗ですねぇ時音さん」


「宗次郎さんも・・・・・・」
素敵です・・・・・・内裏の衣装の宗次郎さん・・・・・・。


宗次郎さんが近付いてきた。


「時音さん・・・・・・」


宗次郎さんが私を見つめる。
そして私の後ろ髪に触れる。


ドキドキして宗次郎さんから目が離せない――。


「僕と・・・・・・一生を共に過ごしてくださいませんか・・・・・・?」


「・・・・・・!?」


「お願い申し上げます」


これって・・・・・・雛祭りを模した祭り?


「あの・・・・・・祭りですか?」
私は恐る恐る訊いた。


「ははっ。勘違いなさるのも無理ないか。雛祭りを模した祭りですが、現実に雛祭りを模すの意です。だから――僕の本気の想いですよ」


「っ――」
それじゃ本気で宗次郎さんは私と・・・・・・?


「は・・・・・・い・・・・・・っ」
涙が頬を伝う。


「宗次郎さんと一生を共にしたいです!!」


「ありがとうございます時音さん・・・・・・」
宗次郎さんが温かい腕で私を包んでくれた。


「一生離しませんからね・・・・・・」


「ありがとうっございますっ宗次郎さんっ」
私も宗次郎さんの背に腕を回して宗次郎さんの胸で泣いた。


嬉しい――嬉しい!!嬉しい!!!


「あなたを抱いてもいいですか・・・・・・時音さん」


「えっ」


――初めて大人の扉を開いた忘れられない雛祭りになりました。
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