第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
天幕の外では、後から到着していたのか、明智光秀の姿があった。
その姿を三成は見つけると駆け寄った。
「...三成、信長様は?」
「こちらにいらっしゃいます」
「信長様、ご無事でしたか。この光秀...慌てて向かった次第でございます」
「貴様が慌てたことなどこの1度もないだろう」
「左様でございますか」
「三成、本能寺はどうなっている」
「はい。火は消し止められましたが、何者かは依然と分かりません」
「...ふむ。俺の寝首をかき、護衛の奴らを皆殺した奴だ。そうそう、姿は現さんだろう。しかしながら、あ奴らには助かったが」
「あ奴ら...ですか?」
光秀はなんの事だと三成を見ると
「光秀様、先程まで共にいた方達です。3名ほどなのですが、ひとりは信長様を庇い傷を負っています」
「傷を負った...?」
「兵たちによると意外と傷が深かったようです」
「...そ奴のおかげで俺は生きている...褒美を与えんとな」
「ほう、それは興味あるな」
「とても美しい方でしたよ」
そう話していると陣の外からけたたましく現れた男がいた。
「御館様っっ!!!ご無事ですかっ.........!!!」
「大事無い」
「おや?着くのが遅かったようだが?」
「光秀!お前こそ、ここにいるとは聞いていない!」
「なに、信長様が危ういと報告を受けたのでな向かっていた次第だ」
「お前、後ろ暗いところがないと信長様に誓えるか?」
ふたりは静かにお互いを見据え、急に空気が張り詰める。
「後ろ暗いとことがない人間なんて、この乱世にいるのか?」
「はぐらかすな。 いい加減、腹の底さらせ」
怒りをあらわに瞳を光らせ、豊臣秀吉が刀の柄に手をかける。
「万が一、信長様に手をかけようとしてたのがお前なら…容赦しない」
そう険悪そうな空気を出していると信長がひと声掛けた。
「やめんか、貴様ら。どんなことがあるにせよ、俺は無事だ」
「...はっ」
「それより、御館様。例の3人はまだなのですか」
「...例の3人?」
「あぁ、なんでも...御館様を救ったという3人らしい。...天幕にいるのです?」
「あぁ、まだなのか?」
「少し様子を見てきますね」
「あぁ」