第3章 胡蝶蘭~嫌がらせと久しぶりの対面~
「あ、悪ぃ。......でもな、六花。混ぜて食うんじゃねぇ。味わって食うんだ」
「味わう......??」
きょとんとした。
味わうってなんだっけ?
今までそこまで味わうってことした事ないし...そもそも味がわからなかったもん。
甘いもの以外。
「まぁ、難しいんじゃないの、紗和」
「...甘いもの以外の味がわからないのも不思議だけど...この機会に政宗に鍛え直してもらえたら...」
「お前、味わかんねぇのか?」
「......優しい味はする、気は...する...」
「そうか。...なら、鍛え直してやるよ。光秀の舌を鍛え直すついでだ」
「ほう?何度言われても変わらないがな」
「みーつーひーで!!!お前は、混ぜて食うのをやめろって言ってんだろうが!!!」
「......秀吉さんって......おかあさん?」
ぽつりと呟くと場がまた静まった。
「こいつの母親なんてまっぴらごめんだ!」
「ふふ...っ、でも、おかあさんみたいな人、だね...」
思わず涙を流した。
こんなに暖かい場所を他に私は知らない。
お母さん────あの人はまたくだらない感情で生きているのだろうか。
なんて考えてもキリがないな。