第3章 胡蝶蘭~嫌がらせと久しぶりの対面~
私の周りにいれば幸せなんて落ちないのに。
何を根拠に言うんだろう。
この時は何も思わなかったが、次第に女中達から酷い言われをするようになった。
部屋の中にいても外でわざとその噂をしたり、朝餉やら夕餉をわざと目の前で落としたりと...楓乃の知らない所で『嫌がらせ』を受けていた。
きっとそのうち追い出されるだろうとしか思えなかった。
追い出されても別にいいやとしか思えなかった。
単純にもう死んでしまいたかった。
そう思う事に時間はかからなかった。
「......」
「本当にあの姫様消えてくれないかしら?」
「そうよね、そこにいるだけで腐るわ」
「いつまでいるのかしら?」
「早くくたばればいいのにね」
「そうよねそうよね。御館様に色目を使って贔屓されるなんて贅沢すぎるわ」
「私達がどんなに頑張ろうとそうは出来ないのにね」
「いいご身分よね」
「消えて欲しいくらいだわ」
「次はなにする?」
「そうね...あとは」
そういう会話がどんどんと心に棘を刺すようにグサグサと刺さっていた。
だから女中たちも私も気づけなかった。
楓乃や武将たちがその事に気づいていたことも。
増してや、女中たちは調子に乗るように偉そうにしていたことさえ武将らは気づいてたことも。